G検定とは?
試験概要
G検定(ジェネラリスト検定)は、日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施している試験で、AIの一分野であるディープラーニングに関する基礎知識の習得を目指すものです。この試験は、ディープラーニングの基本的な概念、AI技術の活用方法、AIの倫理や法規についての理解を問うものです。特に、AI導入を検討している企業やAI技術に興味を持つ個人に対して有用です。
試験内容は多岐にわたり、ディープラーニングの基本的な仕組みやモデル、アルゴリズム、関連する法律や倫理的な問題などが含まれます。受験者は公式テキストや問題集を利用して学習し、知識を深めていきます。試験範囲が広いため、全体像を掴むために模擬試験を受けることも推奨されています。
合格率は60-70%で受験者層は非常に多様ですが、ソフトウェア業や情報処理業の受験者が30%を占めます。また製造業、金融・保険業、不動産業など様々な業種から受験者が集まります。受験の動機としては「ディープラーニングに興味がある」「今後必要なスキルと考えた」「企業や学校から勧められた」などが多く挙げられています。これらの背景からも、G検定が幅広い職種や業種にとって有益であることがわかります。
私の周りでもここ数年でG検定の存在を知っている人が増えている印象ですので、生成AIやディープラーニングに興味のある方は学んでみてください!
難易度と他の試験との比較
まずは勉強時間についてです。
生成AIの入門レベルの試験である生成AIパスポート試験と比べると、G検定は明らかに難しいです。(生成AIパスポート試験の勉強方法については別のブログにて解説しています)そのため勉強時間は30-50時間程度を見積もるとよいでしょう(G検定の統計情報はこちら)。勉強期間は1-2か月程度が目安かなと思います。私自身はしっかり学んでディープラーニングの基礎を身につけたかったので2か月学習をしました。
続いて難易度についてです。
合格率は60-70%となっていますが、個人的にはそれなりに勉強しないと合格が難しい試験だと感じました。少なくともAI未学習で試験中に調査して合格!みたいなことはおそらくできないのではと思います。
ではなぜ難しいのか?ここでは2点述べたいと思います。
まずG検定の難易度を上げている理由の1つは試験時間に対して問題数がかなり多いことだと思います。確かに試験中にインターネットで調べることは可能なのですが、問題が多いため逐一調べていると間違いなく時間が足りない状況になると思われます。そのため、最低でも基本的な用語は暗記orチートシートなどですぐに回答を導き出せる状態にした上で試験に臨むとよいと思います。
加えて、G検定は生成AIパスポート試験と比べると明らかに踏み込んだ内容を扱っておりしっかりとした学習が必要となっています。例えば機械学習とディープラーニングの違い、機械学習の主な手法、ディープラーニングの最適化や目的に応じた手法、社会情勢やAIを取り扱うための倫理などの分野において、概要や体系がある程度頭に入っていることが求められます。
ただG検定に合格できればAIの仕組みの基礎は十分に理解できるようになるかなと思います。個人的にはエンジニアとしてAI開発まで踏み込まないのであればG検定の理解で十分ではないかと思いますが、私自身、業務中に出てくるAI関連の会話で、G検定で学んだ基礎知識が大いに役立っています!もしエンジニアとして踏み込んだ理解を目指したい方は同じJDLAが主催するE資格を目指してみましょう!
試験対策
受験の経緯
私がG検定の学習を開始したのは2022年の9月頃で、2022年11月の試験を受験しました。受験理由は、当時転職を考えており転職を少しでも有利にしたいのと、もともとAIに興味があり基礎知識を学んでおきたいと思ったためでした。勉強開始時のスペックとしては、書籍でディープラーニングのサンプルを動かしたことがある程度で、機械学習やディープラーニングの体系的な知識はありませんでした。
勉強法
試験勉強の王道ですが、まず公式テキストをチェックしました。amazonのレビューにも書かれていますが、AIやディープラーニングについて体系的に知識を整理する分にはよいテキストだと感じましたが、試験対策と考えると問題演習の量や用語解説の粒度が十分でないと感じました。
そこで知識を整理するための参考書としてこちらの本を、問題演習としてこちらの本を購入しました。参考書の選定理由は、レイアウトが見やすい、用語解説が十分、問題演習が豊富の3点です。また問題演習本を選定した理由は、amazonレビューが高く、解説が詳細でわかりやすいと考えたためです。問題演習本は黒本も出ていますが、そちらでも問題ないと思います。参考書の問題演習だけではおそらく演習量が不足するので、何かしら問題演習本で補強した方が合格に近づくと思います。
実際には参考書+付属の問題集を2-3週間、問題演習本を2-3週間、チートシート作成1週間くらいのスケジュールで臨みました。G検定はインターネットで調べることができるテストです。そのためチートシート(いわゆるカンニングペーパー)は必ず作成するようにしましょう!というのも試験中は時間との戦いなので、なるべく知識は頭にいれ、わからないところはどこを調べればよいか情報源を整理しておくことはとても重要です。チートシートの作成方法は次の章で解説するのでぜひ試してみてくださいね!
ここで大事なのはチートシートはある程度勉強が完了してから作成することです。勉強開始時点では重要な用語や覚えておくべき用語の区別が難しいとためです。インターネット上にはたくさんのチートシートがありますが、ご自身の知識を整理する&高速に問題を解くためにもチートシートを作成することは効果があると思います。
試験当日と結果
試験当日は時間との戦いになります。そのための当日のテクニックをご紹介します。具体的には下記のリストを参考に準備やスキルを習得しておくとよいと思います。
- ブラウザに関連資料を表示し、Ctrl+Fコマンド(ページ内検索)を駆使して高速に用語を検索できるようにする
- トイレには行っておく、ご自身以外の方の部屋への入室を禁止にする
- 受験中のインターネット回線を確実に確保しておく
- 1,2回調べても解けそうにない問題はチェックして次にいく(解ける問題を確実に解き切ることが重要)
試験になりましたら、どんどんググりましょう。おそらく全問解き切ると残り20分程度になっているはずです。見直しをしているとあっという間タイムアップするような感覚になるのではないでしょうか(わたしはそうでした)
結果ですが、約2週間後にメールにて通知がきます。私は下記の通り合格でした!合格するとslackのコミュニティに参加できたり次の受験の割引クーポンがもらえますので、継続的にAIの勉強がしやすい環境を提供してもらえます。うまく活用しながらAIのトレンドをキャッチアップしてみてくださいね!

チートシートの作り方
ChatGPT4o
G検定ではチートシートを作成が重要と説明しましたので、作成方法を解説します。ここでぜひ使っていただきたいののがChatGPTです。大変有名な生成AIなので詳細は割愛しますが、ChatGPTを活用することでチートシート作成の労力を劇的に下げることができます。今回は2024年にリリースされたChatGPT4o(フォーオー)を利用してチートシートの骨子を作ってみたいと思います。ChatGPT4oは無料で利用できますので、この機会にアカウントを作成してチートシートを作ってみてくださいね!
プロンプトの解説
ChatGPTに投げる指示文をプロンプトと呼び、そのプロンプトを調整してほしい情報を出力させるテクニックがプロンプトエンジニアリングと呼びます。今回作成したプロンプトは下記の通りになります。また、ChatGPT4oはドキュメントを解釈することができますので、JDLAから試験のシラバス(PDF)をダウンロードし読み込ませます。実際の画面は下記のようになります。

続いて、今回のプロンプトを解説します。下の図を見てください。1-2行目でChatGPTに目的を伝えます。そして4-6行目でチートシートの条件を整理して伝えます。こうすることで、アップロードしたシラバスの内容に従ってキーワードを抽出し、重要度や解説も追記した表を出力してくれるはずです!
このシラバスを参考にG検定用のチートシートを作成します。
下記条件でチートシートを作成してください。
・章立てはシラバスに従い、表形式で出力する
・シラバスの詳細キーワードから重要なキーワードを抜粋し解説を入れる
・重要なキーワードに★をつける。一番重要なキーワードは★★★、重要なキーワードは★★、あまり重要でないキーワードは★を用語の先頭につける
ChatGPTの出力結果
ChatGPTの出力結果は下記の通りになります!
いかがでしょうか?シラバスの章立てをベースにキーワードが抽出され、解説や重要度(★の多さ)が表現されていることがわかります。
※ChatGPTは出力結果が毎回異なります。そのため、上記の条件でプロンプトを実行しても下図と同様の結果が得られない場合がありますのでご注意ください。

ここまでくればあとはもう一息です。ご自身がすでに理解した用語はカットし、まだ覚えていない用語や情報を追記したい用語を残すようにしましょう。また、解説には文章しかないので情報源となるURLを記載しておくのも良いアイデアだと思います。いずれにせよ、ChatGPTが出力された骨子をベースにご自身の理解に応じてカスタマイズしてみてくださいね!
まとめ
この記事ではAIの試験として認知されてきたG検定の対策法について解説しました。合格率のわりに勉強することが多い試験かなと思いますが、その分AIの基礎をしっかりと学ぶことができます。興味がありましたらがんばって勉強してみてください!合格を祈っております!